夏至と月と

日の長さが変われば、光が射す角度も違い、影の濃淡のバランスも変わる。

バナナミルクアイス

お題「思い出の味」

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 私が幼少の頃(80年代)はまだあまりコンビニはなかったようなきがする。うちではおやつが母や祖母の手作りのものが多かった。これだけ聞けばなんだか素敵なお家のような響きである。手作りのおやつといえば、ケーキやクッキーなんかを想像しがちだ。だがうちの手作りおやつは「大学イモ」「寒天ゼリー」「昨晩の残りご飯のみそおにぎり」とおしゃれ感一切なし。今思えば最高!しかし幼い私にとっては友達のお家が羨ましかった。ポテトチップスにジュース。これぞおやつ!

 

 しかし晩ご飯の後に出てくる「おあとくち」の手作りアイスが最高だった。銀色の普通のステンレスのボールに、カッチコッチのミルクアイスがたっぷり。スプーンでかりかりしてお皿にとりわけていく。このミルクアイスはバナナが入っていて、言ってしまえばバナナミルクを凍らせたやつだった。最近知ったのはコンスターチが少し入っていたらしい。だから少し「ぬめっ」という食感があったんだー。

 

 祖母が買ってくる果物はいつも少し痛んでいた。安く買えるため熟れ熟れのものばかりだった。茶色く痛んだバナナが嫌で、私はバナナがあまり好きではなかった。でも、このバナナミルクアイスは格別においしかった。バニラエッセンの香りがふわっとして、なんだか高級なアイスのように感じた。

 

 今自分で作ろうと思っても、なんか億劫で結局近くのコンビニでアイスを買ってきてしまう。手作りのおやつってすごく手間もかかるし大変だったんだ。あの時は売っているスナック菓子に憧れていたけれど、地味なうちのおやつのほうが贅沢だ。