いつかの私へ
単純な私は
簡単にやる気を出す
やっと撮り終わったフィルムを
何を撮ったのか始めのコマは遠い記憶
それでもあの時間に
すうっと心がもどる
街に散りばめられているメッセージを
ゆっくり歩きながら見つけていく
あの時の私が受け取ったメッセージを
時間がたっていまの私が読み解く
私が私を理解し、寄り添い、励ます
いつでも側にいるのは私
自信のない私
嘆く私
涙する私
出てきた写真を見るといつも
私は私に驚く
すごく素敵なメッセージを
ちゃんと見つけられているじゃないの
私は私の見る街の姿が好きで
好きで
いつかの私を想い
自信をなくし嘆くより
いまの私がしっかりその瞬間に受けたメッセージを見つめれば
あの時の私の心のあり方が
いつかの私に届き
いまの私がそっと寄り添うのだろう
揺れる美しい影
自分の中にひっそりと存在している
時々 顔を出して
存在を確認している
心が
ぐぅーーーーっと締め付けられて
頭の中と心の中と行動が一致しない
もどかしさ
あーなりたい こーなりたい
あれやりたい これやりたい
全部やるしかないじゃん
誰にも止められてない
暮らしに目を凝らす
あー。面白い。
暮らしの中に心惹かれる。
どこにだってあるなんてことのない日々。
でも当たり前じゃないこの日々。
ちゃんと季節の移ろいが写し出されて、
ベランダから眺める空の色も、
吹く風の湿り気も、
淹れたてのコーヒーの湯気も、
洗った髪の冷たさも、
ふっと感じる今日の季節。
あー。暮らしにじっと目を凝らして。
なんて面白いんだろう。
心に触れる
心に触れる
って良いことだと思った
なんだか言葉にしなくても
互いに心に触れ合えば
それは素敵なことなんだと思っていた
今
心に触れる
って結構やっかいなものかもしれない
と思えてきた
イライラしてトゲトゲした心に
触れてしまって
指先からじわっと湧き出た血が
白いシャツを染めた
柔らかくて暖かい心に触れるのも
冷たく重い心に触れるのも
その人を知ることには変わりないけど
知らぬ間に
自分を傷つけ
相手を嫌いになっていく
私の感受性は
高感度でもろい
私の配合
私とはどんな私なのだろう
やさしいのか、こわいのか、
あたたかいのか、つめたいのか、
よわいのか、つよいのか
全部が少しずつ混ざり合って、
その日、その時に瞬時に配合が変化する
誰かに言われた一言で
誰かにされた行動で
いつでも私は
誰かの落とした石ころで
出来た波紋の渦の中で
私となって生きている
いつも
いつも同じことの繰り返し。
やるべき事のためにやりたくないことに、時間と心を奪われて。
訳もなく涙が止まらず。
おどおど。ゆらゆら。心が乱れる。
そのくせ
嫌われないように
ニコニコなんかして。
バカみたいな自分をまた嫌になってしまうよ。
このままここからもう動きだせない。
泣きそうな気持ちをぐっとこらえて。
なんにも思わず。なんにも考えず。
ただ無駄に時間が過ぎていってくれるのを
ただ無駄に突っ立って待つだけ。
早く。早く。
私のこの手で、この心で。
自分を生かしてあげたいだけなのに。